ひとり20万円で叶えた水力発電所
奥秩父。秀峰「熊倉山」(1,426m)を源流とする寺沢川の渓流沿いにある日野地区。その中流部に今年の春、小さな水力発電所が誕生した。近年注目を集めている民間のマイクロ水力発電を使った陽野ふるさと電力株式会社だ。
大規模な水源がなくても発電がおこなえる小水力発電は自然環境への負荷も少なく、さらに低予算で設置できるとあって近年、世界中で注目を集めている。
「寺沢川に、水力発電所をつくろう」「電力を地産地消し、地域の活性化に活かそう」。2018年、秩父市民19名、東京都民6名の有志がそれぞれひとり20万円を出し合い、陽野ふるさと電力株式会社を設立。秩父の小さな山岳地帯でひっそりと、しかし熱い想いを秘めたプロジェクトがスタートした。
導入された水車は日本より水力発電が進んでいる欧州スロベニアから輸入されたオンドラチカ社製のペルトン水車。新型コロナウィルスの感染拡大の影響で技術者の来日は叶わず、技術的な相談をテレワークで進め、無事に竣工にこぎつけた。
渓流は想像よりずっと小さく、水を引き入れる取水口も幅1メートルに満たない。そんな小さな渓流だが、生まれる電力の発電出力は24時間稼働で49.9kW。自然の恵みを活かした電力が平均102世帯分、毎日つくられている。
photo/明田光彦
陽野(ひの)ふるさと電力株式会社
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