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能登半島の先端・珠洲市がまるごとアートに!「奥能登国際芸術祭2023」いよいよ開幕!!
能登半島の先端・珠洲市がまるごとアートに!「奥能登国際芸術祭2023」いよいよ開幕!!
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能登半島の先端・珠洲市がまるごとアートに!「奥能登国際芸術祭2023」いよいよ開幕!!

石川県珠洲(すず)市。能登半島の先端にあって三方を海に囲まれた、息を呑むような美しい景観を持つまちです。市自ら「さいはての地」と名乗るだけあって、市としては本州でもっとも人口が少ないものの、歴史と伝統が受け継がれている素敵なまち──。そんな珠洲という場所に国内外のアーティストが向き合い、土地に根ざした作品表現をおこなう芸術祭「奥能登国際芸術祭 2023」が9月23日に開幕します(11月12日まで)。開催期間中は市全域が丸ごとアート。絶好の行楽シーズン、奥能登まで足を伸ばしてみては?

「Something Else is Possible /なにか他にできる」 作:トビアス・レーベルガー、Photo:Kichiro Okumura

まちとアート、2つの文化を同時に探訪!

いよいよ奥能登国際芸術祭2023が開幕する。舞台の珠洲市は能登半島の先端に位置し、地理的には「さいはて」と呼べるまちだが、視点を変えれば「未来を切り開く最先端」ともいえる──。この地で大規模な芸術祭が開催されることになったのは、こうした発想が出発点になっているという。

2005年に廃線となった、のと鉄道能登線。その珠洲駅跡地を市が買い取って2010年「道の駅すずなり」ができた。旧珠洲駅のホームはいまも残され、インスタの映えスポットとして人気を呼んでいる

「2017年、2021年の続いて3度目の開催となります。本来は3年に1度の開催で第2回は2020年に開かれるはずだったのですが、コロナ禍で1年延期され、制約の多いなかで2021年に第2回を開催しました。3回目となる今回は、市民もアーティストも力が入っています!」(珠洲市芸術文化創造室・前田能利さん、以下同)

アーティストが珠洲という場所と向き合って表現した作品で注目されてきたこの芸術祭。前回が縮小開催だっただけに、全面開催の今回は、各方面から大きな期待が寄せられている。

三方を日本海に囲まれた珠洲市。同市狼煙(のろし)町の岬からは、日の出も日の入りも拝める

「アートを鑑賞しながら、珠洲という土地を堪能できるのも、この芸術祭の大きな魅力です。奥能登国債芸術祭の実行委員長でもある珠洲市の泉谷満寿裕市長は、『芸術祭は単なるイベントでなくて運動である』と言っています。何の運動かというと、珠洲を外に発信するための運動。ここには独自の文化や伝統が残っており、美しい自然景観もあります。こうした魅力をアートを通して皆さんに発信していく。これも奥能登国債芸術祭の狙いのひとつです」

アートを見るためにやって来たはずが、まちに惹かれて何度も訪れるようになる。あるいは、この地の魅力を発信するインフルエンサーとなる。はたまた、珠洲に惚れ込んで、ついには移住してしまう……。こんなふうに地域が活性化していけば、という開催地の願いも込められているのだ。

江戸、明治時代、北前船で栄えた地の豊かな文化

珠洲は江戸時代から明治時代、日本海海運の主役だった商用帆船・北前船(きたまえぶね)の寄港地として栄えた。

「以来、受け継がれてきた独自の文化もあります。五穀豊穣を祝う秋祭りをはじめとする盛大な祭りが各地に残っていますし、お客さまをもてなす『ヨバレ』という独特の風習も受け継がれています。豊かな里山、里海のおかげで、食材の宝庫でもあります。能登牛、アワビやサザエほか海産物からキレイな水をつかった日本酒まで……。珠洲市は、本州の中でもっとも人口が少ない市で、めちゃくちゃ田舎ですが(笑)、発信したい魅力はたくさんあるのです」

珠洲市には10のエリアがあり、それぞれが独自の祭りや文化、歴史を持つ。「蛸島」は、石川県屈指の漁港を持つエリア。白壁と下見板張りの家々が建ち並ぶまちの風情は、「いしかわ景観賞」を受賞しているほど。「正院」は、いにしえの珠洲の中心地。八幡宮には能舞台と能面が残っていて、威勢のいい掛け声で若者たちが町中を練り歩く秋祭りは見物だ。このエリアには冬になると、美しい白鳥が飛来する。

正院はかつて珠洲の中心地だった。冬にはたくさんの白鳥が見られる

「10のエリアには、それぞれの特徴があります。作品は各エリアに展示されていますから、エリアごとの特徴を楽しみながらアートも堪能してください」

14の国と地域から59組のアーティストが参加

今回の奥能登国際芸術祭には、14の国と地域から59組のアーティストが参加。独自の視点で珠洲という土地をとらえ、それを反映した作品が展示される。なかには、サステナブルな視点から、珠洲市住民の古着を集めてつくった作品もある。

祭りのあと役目を終えたキリコ(背の高い奉燈)や市民から集めた古着を割いてつくられた「待ち合わせの森」。作:大川友希、Photo:Keizo Kioku(スズ・シアターミュージアム)

「土地柄、まち並み、祭り……。作家さんはさまざまな方面から珠洲のよさをとらえ、それを活かした作品を創作してくださっています。私のような地元の人間とは異なる視点が新鮮ですし、作家さんごとにまったく違うとらえ方をされているのも面白い。そういう視点でアートを鑑賞されても、楽しいかもしれませんね」

屋内、屋外と展示場所は作品によってまちまちだが、9月23日〜11月12日の開催期間中は、市内全域丸ごとアート。レンタカーなどで回るのがもっとも効率的で、バスで回るオフィシャルツアーや、金沢、輪島、和倉温泉からのツアープランも用意されている。

「遠くから来られる方のことを考えて、今回はいろいろなツアーを用意しました。もちろん、珠洲市民やその近隣の人たちにも、ぜひ来ていただきたいと思います。地元の人たちは、『ここには、都会に当たり前にあるチェーン店のようなものがない』などとネガティブなことを言う(笑)。たしかに珠洲には都会にあるものがないけれど、都会にないものがあったりするんですよね。作家さんのアートは、それを気づかせてくれます。地元の人にも来てもらって、表現された珠洲の魅力を感じてほしいですね」

text:佐藤美由紀

ーー後編に続くーー

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