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キニマンス塚本ニキが選ぶ「気候危機への立ち向かい方を知る本&映画」
キニマンス塚本ニキが選ぶ「気候危機への立ち向かい方を知る本&映画」
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キニマンス塚本ニキが選ぶ「気候危機への立ち向かい方を知る本&映画」

難しい専門書でなくても、気候や環境の問題を多角的に学べる手段はたくさんあります。翻訳者でラジオパーソナリティのキニマンス塚本ニキさんがオススメする本と映画を見てみましょう。

社会システムそのものの変革を求め
一人ひとりが声を上げる勇気を

いまの社会を取り巻く問題の多くは、政治や経済のシステム自体に起因するもの。それを示すのが、映画『愚か者の時代にいる』です。舞台は、気候危機で荒廃した2055年の地球。唯一生き残った男性が、人類の残した資料を辿る形で、2008年制作当時の環境問題や貧困問題の実情を収めた6つの映像を流し、自分達がどこで道を踏み外したのかを振り返ります。格安航空会社を立ち上げるインドの実業家や、石油開発による環境汚染に苦しみながらも経済的には依存せざるを得ないナイジェリアの女性などさまざまな人物が登場しますが、皆一様に環境破壊の意識はなく、各々の正義を果たそうと奮闘している。そこに問題の根深さを感じるとともに、本作から10年以上を経ても事態が好転していないことにゾッとします。

『プロテストってなに? 世界を変えたさまざまな社会運動』は、社会のシステムを変革するため、古代エジプトの労働者ストライキからブラック・ライブス・マター運動まで、世界で起こった社会運動が絵本のようにわかりやすく紹介された本です。たとえば1970年代のインドで起こったのは、森林伐採に反対するために村人が行ったチプコ運動。木に抱きつくという方法を採ったそうですが、ユーモアと温かさすらあるアクションも、ひとつの抗議活動になりうることに勇気づけられます。声を上げることは怖くない。私たち一人ひとりが、システムに「待った」をかけることから、大きな変化は生まれると思います。

『プロテストってなに? 世界を変えたさまざまな社会運動』
アリス&エミリー・ハワース=ブース/著 糟野桃代/訳

環境保護や平和、公民権、女性の参政権、人種の平等、LGBTQ+の権利、などに向け、市民が立ち上がった抗議の物語と歴史をイラストを交えて紹介。青幻舎。

『愚か者の時代にいる』

世界は2055年に気候変動によって破壊された。人類が悲惨な結果を招いた経緯とは。映像とともに振り返る。監督:フラニー・アームストロング。Amazon Prime Videoほかで配信中。

PROFILE

キニマンス塚本ニキ NIKKI TSUKAMOTO KININMONTH
翻訳者・ラジオパーソナリティ。1985年東京都生まれ。2010年から英語の翻訳・通訳業を中心に活躍中。TBSラジオ『アシタノカレッジ』のパーソナリティも務める。

●情報は、『FRaU SDGs MOOK 話そう、気候危機のこと。』発売時点のものです(2022
年10月)。
Illustration:Toru Ogasawara Text:Emi Fukushima Text & Edit:Asuka Ochi
Composition:林愛子

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