環境問題、生物多様性、ジェンダーギャップ…大人にこそ読んでほしい「子どもの本」7選
私たちのふだんの行動軸をベースに、未来を変えるアクションを集めました。毎日の暮らしのなかでできることから新たな世界での体験まで、やりたいことから始めてみましょう。今回は、中学生・あおさんが厳選した7冊をご紹介します。
大人にこそ読んでほしい
深くて楽しい子どもの本
SDGs関連の授業を積極的におこなう学校が増えているいま、子ども向けの本にも環境問題や生物多様性、ジェンダーなどをわかりやすく解説するものが増えている。読んでみるとびっくり。内容は本格的なのに、絵や写真が美しかったり、読みやすい小説仕立てになっていたり、ユーモアがうまく交えてあったり。これは面白いし、すごく勉強になる! 今回は日頃からSDGsにまつわる本をたくさん読んでいる中学1年生のあおさんが、新しい世界の見方を教えてもらったという7冊を厳選。「じ、持続可能な社会とは……う~む」なんて、頭でっかちになっている大人の脳を、柔らか~く、ほぐしてくれるはず。
ミツバチはみんなにとって大切なんだ
恐竜時代から現代まで、昆虫学的、文化的、技術的な側面からミツバチとハチミツに迫る絵本。
「ミツバチは果実や野菜の受粉に不可欠な存在だそう。ということは果実や野菜を食べる人間や動物にも必要な生き物なんだ! ほかにも発見がたくさんあって、嫌いだったミツバチを見直しました」
海の汚染について考えるきっかけに
少女アレーアと帆船に乗る仲間たちが、海と水をめぐる壮大な冒険の旅に出る物語。
「船での生活がメインのお話なので、船のスクリューにプラスチックが挟まるなど海の汚染についての話がよく出てきます。何げなく捨てるごみが大きな事故や汚染につながることを考えないといけないと思いました」
勇気を出して行動すれば、何かが変わる!
「嵐でずぶぬれになってみよう」「コンパスと地図で方角を知ろう」など、多彩な冒険のミッションをクリアしていくワークブック。自分で考えて行動し、楽しむことを教えてくれる。
「子どもでもひとりで冒険できる方法があるし、体験することで世界が少し違って見えてくるんだと知りました」
信念を持って生きた女性は素敵!
マザー・テレサなど、時代や逆境に負けず、自分らしさを貫いて生きた女性たちが現代の女生徒にしゃべりまくる!
「“白衣の天使”のイメージだったナイチンゲールが、じつはとても頭がよく、看護師の教育にも力を入れていたと知り驚きました。女性の活躍の場がたくさんあると知れて、よかった」
性別で縛られなくてもいいんだ!
「男の子は泣いちゃダメ」など、性別による固定観念を吹き飛ばす韓国発のジェンダー絵本。
「『明るいところにいると、くらいところはよく見えない。反対に、くらいところからは明るいところがよく見える』。本の中のこの言葉を生活に取り入れると、今まで気づかなかったことが見えてきました」
昔の生活は知恵と工夫が満載だ!
おままごと、紙芝居屋さん、お風呂屋さん。昭和の暮らしをイラストで紹介。
「遊び道具の多さにびっくり。私は友達と遊ぶとなったらスマホばかりなので……。不便だと思っていた昔の生活の違う一面を知ることができて、環境によい生き方のヒントが昭和の暮らしにはあるんじゃないかなと思いました」
毎日安全に学校に行けるのは奇跡かも?
急流や険しい崖、山道に負けず、毎日懸命に学校に通う世界中の子どもたちの姿を収めた写真集。
「高い崖をハシゴで登って通学しているのに衝撃を受けました。あんな危険な場所を雨や雪の日にも登っているんだと考えると、本当にすごいことだと感じます。私もがんばって学校に行こうと思えます(笑)」
PROFILE
あお
小学生の頃に好きな海外の作家に出会ったことで大の読書ラバーに。お小遣いをやりくりして、本を買っている。中学校では、吹奏楽部に入部。ドイツのお城にあこがれていて、将来は素敵な自分の家を建てるのが夢。
●情報は、FRaU2022年8月号発売時点のものです。
Photo:Kanata Kitashima Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子