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滋賀「やまなみ工房」で日々生まれる、超独創的アウトサイダー・アート
滋賀「やまなみ工房」で日々生まれる、超独創的アウトサイダー・アート
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滋賀「やまなみ工房」で日々生まれる、超独創的アウトサイダー・アート

いわゆる「美術」の外にいて、創作し続ける人がいます。ときに断絶された世界で、誰かの、何かのためではない、魂があふれ出るような作品、そのつくり手たちを訪ねました。今回紹介するのは滋賀県甲賀市の「やまなみ工房」です。

アウトサイダー・アートって?

既存のアートに対し「アウトサイド」とされる、美術教育を受けていない人による、独自の芸術活動のこと。障がいや生きづらさを抱える人の作品でも知られるが、身近な日常で、刑務所で、あるいはどこかで人知れず、さまざまな表現が生まれている。独創的で自由で、これこそ創作の真髄と感じられるような、魂を燃やす作品たちだ。

山際正己

1972年生まれ。10代後半で入所、当初は粘土で皿や器をつくっていたが、海や山へ行ったり、散歩をしたり、仲間と経験を重ねるうち、いつか見たカタツムリや猫、馬など、作品はさまざまに形を変えていった。この30年で10万体以上つくられているのが、これら「正己地蔵」と呼ばれるユニークなキャラクターだ。

あるとき、彼が毛糸の帽子を被ってきた日に、帽子を被った人形がつくられたことから、自身がモデルと考えられる。創作量は膨大だが、毎日の作業は皆が昼食のためにアトリエからいなくなり、誰かが食べ終わって帰ってくる間のほんの15分ほどだという。大きな声で自分を褒めながら好きな人形をつくるさまが映画『地蔵とリビドー』に取り上げられた。

鵜飼結一朗

1995年生まれ。掃除をこよなく愛し、なかでも一番好きなのがトイレ掃除。落ち葉の季節ともなれば、一日中ほうきで外を掃いていることも。そして、ひととおり掃除を終えてから絵を描きはじめる。作品には、恐竜や妖怪、浮世絵風の人物、アニメのキャラクターなど、時代もテイストもバラバラなものが混在している。

終わりのない群像画がイメージとして頭のなかにあるようで、それは一枚一枚の紙に分けて描かれるものの、最終的に上下左右、縦横無尽に広がり、すべての絵が見事につながる。

塗り残しのある絵も多いが、本人の好む色が存在していないところが残されているようで、新しい色が手に入ると塗り足されることもある。

やまなみ工房

障がいのある人たちが、独創的なアート作品を生み出すアトリエ。1986年に3名からスタート、現在は90名ほどの利用者がおり、ここへ来てそれぞれが自身の表現と出会っている。福祉の資格保有者も、美術を専門とする者もおらず、いっさいの指導や強要がない。アーティストがいかに毎日、にこやかに穏やかに過ごせるかを大切にしている。滋賀県甲賀市甲南町葛木872 a-yamanami.jp

●情報は、FRaU2022年8月号発売時点のものです。
Text & Edit:Asuka Ochi
Composition:林愛子

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