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西村宏堂が選ぶ「性の多様性を理解するために読むべき2冊」
西村宏堂が選ぶ「性の多様性を理解するために読むべき2冊」
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西村宏堂が選ぶ「性の多様性を理解するために読むべき2冊」

社会問題に対し、さまざまなかたちで意見を表明しているメイクアップアーティストで僧侶の西村宏堂さんが、ジェンダー問題を考える本を紹介。性別にまつわる問題について、多角的に読み解ける2冊です。

カテゴリーにとらわれない
性の実例や当事者の感情を知る

私は、男性の体に生まれてほぼ女性の心を持っています。でも女性として生きていきたいと思ったことはありません。厳密にはLGBTQというカテゴリーにも当てはまらないんです。それぐらい性というのは多様なもの。今回は、多様な性や、その当事者がどのような考えを持っているのかを知ることができる本を紹介します。

『ヒゲとナプキン』は、LGBTQの当事者である杉山文野さん原案。描写が具体的で、私自身も経験した感情がたくさん書かれています。たとえば、主人公がコンビニでナプキンを買うシーン。心は男ですが、体は女だから生理がくる。それを周りに知られたくないと葛藤します。私も、男性の容姿で化粧品を買うことがすごく恥ずかしかった時期がありました。店員さんにも「彼女にプレゼントですか?」と聞かれ、店員さんに悪気はないと知りつつも、私は化粧品に興味を持ってはいけないのかなと悲しくなりました。そんな当事者の気持ちを感じられる一冊だと思います。

『LGBTとハラスメント』は教科書のように、さまざまな事例が挙げられています。感情移入というよりファクトとして学びたい人向け。人を傷つけないためにも、学ぶことは大事。どんな問題においても、謙虚に学ぶ姿勢を大切にしたいです。

ヒゲとナプキン
乙武洋匡/著、杉山文野/原案

女として育てられ、男として生きているトランスジェンダーの主人公は、過去を隠しながら働いている。女性パートナーとの関係や、出産への思いなど、社会や家族に向き合うようすを丁寧に描いた小説。小学館刊。

LGBTとハラスメント
神谷悠一、松岡宗嗣/著

LGBTの人々に対するカン違いや、理解不足について事例を交えて紹介。職場でのLGBTを巡る人事、労災制度もまとめられている。ハラスメントを防止するためにも、読んでおきたい現代の必読書。集英社新書刊。

PROFILE

西村宏堂 にしむら・こうどう
メイクアップアーティスト、僧侶。浄土宗の寺院に生まれる。ニューヨークのパーソンズ美術大学を卒業し、メイクアップアーティストとしてミス・ユニバース世界大会や、ミスUSAでメイクを担当。現在はLGBTQ+の理解を広める活動をしている。著書に『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』(サンマーク出版)。

●情報は、FRaU2021年1月号発売時点のものです。
Photo:Toru Oshima Illustration:Adrian Hogan Text & Edit:Saki Miyahara
Composition:林愛子

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