観光立国タイの「LGBTQ+フレンドリー・ツーリズム」
国や地域によって違うジェンダーとダイバーシティ。さまざまな取り組みのなかから、今回は、タイの事例をピックアップ。
ジェンダーニュートラルな
政府観光庁主導のツーリズム
「家族にLGBTQ+をカミングアウトされた場合、受け容れるか」
2015年の世論調査で、すでに約8割がイエスと答えていたタイ。ニューハーフショーやトランスジェンダーに特化した美人コンテストに加えて、大手企業がプロモーションのひとつとしてジェンダー問題を提起する動画をつくるなど、日常的にLGBTQ+に触れる機会は多い。
近年はトランスジェンダーを公表する国会議員の選出、シビル・パートナーシップ法案の承認などが話題に上っているが、注目したいのは国として「LGBTQ+フレンドリー/ツーリズム」を提唱していること。
タイ国政府観光庁(TAT)が旗振り役となり、世界に向けて東南アジア初となるLGBTQ+に特化したシンポジウムを開催し、各地のホテルやサービス施設と連動したプロジェクトを展開。同性同士のウェディングプランも提供されるなど、観光立国タイの新たな一面が見えつつある。発信するメッセージは「Open to the New Shades(新しい色合いへのいざない)」。法整備という課題はあるが、性別はもちろん国籍や肌の色といった違いにかかわらず、すべての人を受け容れる土壌がタイにはある。
●情報は、FRaU2021年8月号発売時点のものです。
Text:Misato Yamagata Edit:Asuka Ochi