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“ビーチで大相撲”も!「日本一楽しいごみ拾い」実況ルポ
“ビーチで大相撲”も!「日本一楽しいごみ拾い」実況ルポ
PROJECT

“ビーチで大相撲”も!「日本一楽しいごみ拾い」実況ルポ

プラスチックごみを減らす、出さない……。いま、海を変えるために日本各地でさまざまな取り組みが行われています。今回は、神奈川県で開催されているビーチクリーンを紹介します。

できるだけ参加へのハードルを下げ
「街の人たち」とビーチクリーンを

ごみ拾いが終わり、キレイになったビーチに即席の土俵をつくると、取組開始! 迫力に怯えて泣き出す子どもも

「はっけよい、のこった!」。盛夏の湘南ビーチ(神奈川県藤沢市)に行事の声が響く。幼い子どもたちが現役力士に突進してい姿を、土俵を囲んだ大人たちが笑顔で見守る。これは相撲部屋のファン感謝イベントではない。主催するのはNPO法人「海さくら」。江の島を中心に、海をキレイにするための、ごみ拾い活動を2005年からもう17年もつづけている団体だ。

灼熱の太陽のもと、マワシ姿で清掃に励む力士たち

「いくら正しい行為であっても、ただ『ごみ拾いをしようよ』と声をかけただけでは人は集まってくれません。お相撲さんと楽しく遊べるイベントがあるな、くらいの軽い動機や認識でいいんです。まず、海に来てもらうことが第一歩ですから」とは、代表の古澤純一郎さん。海さくらのアプローチは、奉仕活動から連想される堅苦しいものが何ひとつない。

力士と触れ合えるとあって、親子での参加者がたくさん

「お相撲のほかにも、これまでヨガやビーチテニスなどのアクティビティとごみ拾いを組み合わせたこともあったし、お笑い芸人やラッパーのような有名人に来てもらったこともあります。ビーチで囲碁を打つという一見奇異なものも、やってみたら好評でした。最初は、カラフルなトングを使って、ごみ拾いを少しでもポップに見せたいというアイデアが出発点でした。いまでは理念に賛同した芸能プロダクションやプロサッカーチームが手を貸してくれるという、大変ありがたい状態で、大小さまざまな企画を実行できるようになりました」(古澤さん、以下同)

ビーチには小さなごみはもちろん、エアコンの室外機などの「大物」が落ちていることも珍しくない

「ごみの多くは街から流れついてくるもの。地元の方やサーファー、ヨットマンといった海に近い環境にいる人たちは、もともと意識も高く、ポイ捨てなんか絶対にしない。しかし街に目を向けると、排水溝に溜まった小さなごみが雨などで川から海に流され、やがて砂浜に打ち上げられる。そういった現状を知ってもらうためには、みんなで楽しめる企画を立てたり、ある程度ネームバリューのある方たちに頼ってでも、街の人たちを巻き込んでいくことが重要なんです。一度、足を運んでさえもらえれば、海風が気持ちいいとか、砂浜を歩くのは足をとられて思いのほかしんどいとか、ビーチに小さなプラスチックごみやビニール袋が落ちていることへの違和感とか……さまざまなことを実感するはず。そこから、おのずと日々のごみ問題も意識するようになります。だから(ビーチクリーンへの)参加までのハードルは低ければ低いほどいいと思っています。実際、ごみ拾いでひと汗かいた後のビールがうまいという理由だけで参加してくれる人だっていますし(笑)。海さくらの受付を手伝ってくれているイケメン芸能人グループ『ASE BOUND』目当てというミーハーな動機も大歓迎ですよ!」

ケガにはご用心。ビーチクリーンの前は、みんなでしっかり準備運動

「目指せ! 日本一楽しいごみ拾い」を掲げるだけあって、古澤さんのスタンスは軽やかそのもの。それでいて大きな目標も忘れない。

「家業が明治時代からつづく船具屋だったこともあって、海は身近な存在で格好の遊び場でした。ところが、最近は子どもの海離れが深刻化しています。自然と触れ合う学びの場として、これほどいい場所はないのに、悔しい限りです。子どもたちがもっと自由に海で遊びたいと思える環境をつくろうと常々考えています。安全面を考慮し、クギをいっさいつかわない海の家をつくったのも、その一環です。これなら解体後にクギを砂浜に残す心配もありません。あとは、昔は江の島周辺にたくさんいたという、タツノオトシゴが戻ってくる海にすることですね。まだまだ困難はたくさんあるけれど、あきらめないで地道に活動していきます」

PROFILE

古澤純一郎
NPO法人「海さくら」代表。2005年より「目指せ! 日本一楽しいごみ拾い」をモットーに、気軽に参加できる体験型の活動をプロデュース。湘南・江の島ではじめた月1回のビーチクリーン活動は、国内はもとより、ハワイなど、海外にまで広がりを見せている。umisakura.com

●情報は、FRaU SDGs MOOK OCEAN発売時点のものです(2019年10月)。
Photo:Shinichiro Fujita Text:Toyofumi Makino Edit:Asuka Ochi
Composition:林愛子

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