ご機嫌なポテトパッケージ&要注目のワーキング・コミュニティ
待ったなしの環境問題に対して、世界はどのように行動しているのでしょうか。海や森の汚染問題、カーボンニュートラル、プラスチック、リデュースとリサイクルなど、さまざまな問題への国内外の最新の解決策から、未来へのヒントを見つけたいと思います。今回は、イタリアでジャガイモの皮から作られた容器と、スウェーデンのワーキングコミュニティをご紹介。
イタリア発!
ジャガイモの皮でできた
ファストフード用容器
2018年、イタリア・ミラノの美術大学〈Nuova Accademia di Belle Arti〉の学生だったパオロ・ステファノ・ジェンティーレは、2人の友人とともに愉快で環境に優しいプロダクトを考案した。ポテトフライをつくる際に出るゴミ、ジャガイモの皮でできた容器である。
ジャガイモの皮だけを使用しているので、生分解性が高い。では、なぜ皮のみでつくれるのか。ジャガイモのでんぷんが接着剤代わりになり、浸軟と自然乾燥の後、互いに結合して硬化するからだ。こうしてできたアイスコーンは、見た目こそ変わったものの、「皮」の中にポテトフライという「中身」が収まるという点では、もとのジャガイモと同じだ。パオロたちは現在、世界に流通できるよう、この容器のプロダクト化を目指している。
スウェーデン発!
持続可能な社会のためのコミュニティ
2006年にイギリスで始まった、持続可能な社会へ移行するための市民運動、トランジション。「オムステルニング」は、このムーブメントに共感する、スウェーデンの環境活動家たちによるワーキングコミュニティだ。
新聞記者、建築家、映画監督、教育者、農家、アーティストなど、フリーランスを中心としたさまざまな分野の人々が参加し、仕事や生活で得た知恵を共有し、調和と再生の世界に向けて、それぞれがいまできることを実践している。
メンバーは各地に点在しているため、ミーティングはすべてオンライン。地球環境、気候危機、パーマカルチャーなど多岐のテーマで、ワークショップやスタディーサークル、オンライン講座などを行い、トランジションな生き方を広めている。
●情報は、FRaU2022年1月号発売時点のものです。
Text:Yumiko Nakanishi Edit:Asuka Ochi