海を守り、貧困解消につながるスポンジ養殖
待ったなしの環境問題に対して、世界はどのように行動しているのでしょうか。海や森の汚染問題、カーボンニュートラル、プラスチック、リデュースとリサイクルなど、さまざまな問題への国内外の最新の解決策から、未来へのヒントを見つけたいと思います。今回は、アフリカ東海岸の諸島・ザンジバルで行われているプロジェクトをご紹介。
ザンジバル女性による
海綿スポンジ養殖プロジェクト
海岸地域に暮らす人々の生活は長らく海から恩恵を受けてきたが、乱獲や気候変動による影響で、暮らしは困窮している。アフリカ東海岸の諸島・ザンジバルの村、ジャンビアニもその一例だ。ここでは収入源のひとつとして海藻の養殖が行われ、その仕事の9割を女性が担っている。
しかし近年、温暖化による海水温度の上昇で海藻が育たなくなり、女性たちは収入源に困っていた。〈marinecultures.org〉では、そんな女性たちに泳ぎと海綿スポンジの養殖の仕方を教えている。バスタイムに人気のスポンジの元となる海綿は、そもそも海の生き物。天然資源として乱獲され、大部分が絶滅の危機にあるが、上昇した海水温度に耐性があって育てやすく、需要があり高く売れる。そんないいことづくめのスポンジ養殖の収入により、多くがシングルマザーである彼女たちは生活が向上。
このチャリティーでは海洋生態系の保護と人々の貧困の解決の双方に働きかけるほか、サンゴ礁の保護と回復、また魚の資源保護も行っている。2021年、海の環境のための活動を評価する「Blue Champions Award」も受賞。今後、チュニジアでも同様のプロジェクトを行う予定だ。
●情報は、FRaU2022年1月号発売時点のものです。
Text:Yumiko Nakanishi Edit:Asuka Ochi