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[from São Paulo】サンバカーニバル パレードの舞台裏 by Katsura ishihara
[from São Paulo】サンバカーニバル パレードの舞台裏 by Katsura ishihara
COLUMN

[from São Paulo】サンバカーニバル パレードの舞台裏 by Katsura ishihara

世界のサステナブルな情報を紹介するfrom the WORLD。ブラジルからはサンパウロ在住13年の石原桂さんが、現地で見つけたさまざまなサステナブルな取り組みを隔月で紹介しています。今回はブラジルから、サステナブルな衣装や山車が特徴のサンパウロのカーニバルをリポートします。

新年のお祝いムードが終わり、ブラジルの2月、3月は1年で最もソワソワ落ち着かない時期。カーニバル(謝肉祭)がやってくるからです。

リオだけじゃないブラジルのカーニバル

“リオのカーニバル”という定型文が日本でも定着しているように、ブラジルのカーニバルはサンバ音楽を主体としたパレードのイメージが強いですよね。リオではすでに1932年に、3つのサンバチームを競わせたサンバパレードがおこなわれたという記録があるそうです。時が経ち観覧の観光化やテレビ中継など商業的な要素が加わり、現在のパレード会場での競技形式となりました。

リオだけではなく、私が暮らすサンパウロでも同じようなサンバパレードがあります。またカーニバル期間中はブラジル各地で地域特有の音楽パレードやフェスタがあり、移民の多様性が楽しめるのもブラジルのカーニバルの特徴です。

巨大パレードのサステナブルな舞台裏

毎年1チームあたり2000人から3000人ともいわれる参加者の豪華絢爛な衣装と山車は、どのように準備され最終的にどう処分されるのか気になるところ。そこでサンパウロのサンバチーム、ホーザ・デ・オウロ(Rosa de Ouro 黄金の薔薇の意)でお話を聞いてきました。

毎年テーマに沿ったモチーフに作り替えられる山車は、ダンサーたちが上で踊るので安全性を重視し、建築士の許可を得た設計図をもとに、鉄筋と発泡スチロールで製作されます。防火と防水に優れた特殊塗料を重ね塗りし、パレードの15日前に会場広場に納品、消防署の耐久性チェックを受け合格した山車が晴れて会場入りします。パレード後の骨組みは捨てずに毎年再利用するそうです。そこで気になるのが、残された大量の発泡スチロールの行方。すべてゴミになるのでは? と心配になりますが、解体された後は細かく崩され、クッションビーズなどの材料に再生されるのだそうです。また山車によっては6月にお祭りが多い北東部へ移送して、手を加え再登場するのだとか。

そして一枚ずつ手縫いされ細かな装飾を施されたキラキラの衣装は、70%の素材が翌年へ再利用、30%の衣装はそのまま別のチームへ引き取られます。気になるあのふわふわの羽毛飾りは、以前は南アフリカやインド、中国などから大量に輸入していたそうで、リオとサンパウロの1回のパレード全体で25トンもの羽毛が消費されたというデータもあります。しかし最近はサステナブルな視点から、クジャクや鴨などの羽毛は避けて食肉鶏などの羽根を使ったり、羽毛は一切使わないと宣言するチームも増えたりしています。羽毛代だけで新車が1台買えるともいわれるほど費用がかかるので、経費節約のためにもチーム間での再利用や素材の見直しは切実なのだそうです。

パレード本番はこれから!

コロナ禍の影響で昨年は中止となったサンバパレードは、今年は延期されイースター後の4月21日からの週末に開催が決定しました。例年より準備期間が長くなった分、万全を期して臨むパレードともいえます。音楽、ダンス、衣装、美術などがひとつに詰まった各チーム約1時間のショーパレードのぶつかり合いは、特に今年は見応え充分。現地からのネット中継や動画配信などでぜひチェックしてみてください。華やかでサステナブルな衣装や山車が、あなたを魅了するはずです。

石原桂

ブラジル・サンパウロ郊外在住。日本移民100周年のお祝いムードに沸く2008年に渡伯。翻訳業の傍ら、コーヒー、スパイス、アマゾンハーブ、ヴィンテージ食器、キッチン用品などの品々を扱い、日本へ発信中。

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